着工金(着工代金)とは?相場やもらうタイミング、帳簿のつけ方まで基本をやさしく解説!

うちの会社のような小規模な内装工事・大きい工事でもせいぜい200万~300万円というような会社の場合は工事完了後に全額をまとめて請求というケースも多いでしょうが、工事代金を何度かに分けて支払ってもらうという方式をとっている会社さんも多いと思います。

その工事代金の支払いのうち着工金について今回は説明していきます。

1. 着工金(ちゃっこうきん)とは?契約金や中間金との違い

建設業では、工事が完了した後に全額をまとめて支払ってもらうのではなく、工事の進捗に合わせて何回かに分けて代金を回収するという会社さんが結構多いです。

特に金額の大きい工事・工期が長くなる工事ではそのような対応になるのだと思います。

その中でも、工事に着手するタイミング(着工時)に受け取るお金のことを「着工金」と呼びます。

一般的な工事代金の分割支払いは、次のようなイメージで段階分けされます。

  • 契約金(着手金): 工事請負契約を結んだ時に支払うお金(目安:工事代金全体の10%程度)
  • 着工金: 実際に現場の工事を始める時に支払うお金(目安:工事代金全体の30%程度)
  • 中間金: 工事の途中(上棟時など)に支払うお金(目安:工事代金全体の30%程度)
  • 完成代金(引き渡し金・残代金): 工事がすべて完了し引き渡す時に支払うお金(目安:工事代金全体の30%程度)

※契約内容によっては「契約時と着工時をまとめて契約金とする場合」や「着工時・中間時・完成時の3回払いに分ける場合」など、現場や施工会社ごとに様々です。

ちなみにうちの会社は着工金は頂かないのですが、個人的に自宅を建設して頂いた際には着工金支払っています。私の家を建ててくださった会社さんの場合、着工金 完成代金 の2回払いでした。

この分割の回数はその会社さんによって様々のようですね。

2. なぜ着工金が必要なの?建設業ならではの理由

「工事が終わってからまとめて請求すればいいのでは?」と思われるかもしれません。しかし、建設業において着工金をいただくことには、非常に大切な2つの理由があります。

① 資材の仕入れや下請けさんへの手配費用が必要だから

工事を始める前には、木材や生コン、設備機器などの資材を発注したり、協力会社の職人さんを手配したりする必要があります。

もし全額後払いにされてしまうと、工務店や一人親方さんが自分のポケットマネーで何百万円もの費用を立て替えなければならなくなります。これでは資金繰りが大変になってしまいますよね。1日2日で終わる工事ならまだしも、先ほど例に挙げた戸建て住宅のように数か月かかるケースだと先行して支払わなくてはならないお金が莫大になります。

そのため、準備費用として事前に着工金をいただく仕組みになっているのです。

② 工事代金の未回収リスクを防ぐため

万が一、工事の途中で施主側の都合によりトラブルが起きたり、支払いが滞ってしまったりした場合でも、事前に着工金をもらっておくことで被害を最小限に抑えられます。

施工者側のリスクを減らし、安心して現場に集中するためにも重要なステップです。

3. 着工金の相場・割合はどのくらい?

着工金の金額に法律上の厳密な決まりはありませんが、業界の一般的な目安としては「総工事代金の30%程度(3割)」とされることが多いと聞きました 。

例えば、総額2,000万円の新築工事の場合:

  • 契約金(10%): 200万円
  • 着工金(30%): 600万円
  • 中間金(30%): 600万円
  • 完成代金(30%): 600万円

このように分割して請求するケースがよく見られます。ただし、この割合を使う会社さんが割と多いというだけで、すべての会社がそうしなくてはならないというわけではなく、別の割合もあると思います。

また、先に例に挙げた私の自宅のように2回分割の場合も50% 50%の2回のケースもあれば 20% 80% など、割合も様々です。

4. 着工金をもらった時の帳簿の書き方(仕訳)

ここからは、実際に着工金を請求・受領した際の会計処理(仕訳)について見ていきましょう。

注意したいポイントは、着工金をもらった時点では、まだ「売上」ではないということです。なぜなら、工事はまだ完了しておらず、建物を引き渡していないからです。

そのため、入金時は一時的に「前受金(まえうけきん)」という勘定科目(負債)を使って処理します。

具体例:工事代金1,000万円の現場で、着工金300万円が口座に振り込まれた場合

① 着工金(300万円)が銀行口座に入金されたとき

工事完了前にお金を受け取ったため、「前受金」として記録します。

借方(理由)金額貸方(理由)金額
普通預金3,000,000円前受金3,000,000円

※「未成工事受入金(みせいこうじうけいれきん)」という建設業専門の勘定科目を使う場合もありますが、小規模事業者や個人事業主さんであれば、一般的な「前受金」で処理して問題ありません。

未成工事受入金について詳しくは↓の記事を読んでみてください

② 工事が完了し、施主へ引き渡したとき(残金700万円を請求)

工事が無事に完了した段階で、これまで受け取った着工金(前受金)を解消し、全体を「完成工事高(売上)」に振り替えます。

借方(理由)金額貸方(理由)金額
前受金3,000,000円完成工事高(売上)10,000,000円
完成工事未収入金(売掛金)7,000,000円
  • 事前にもらっていた3,000,000円(前受金)を売上に充当し、残りの7,000,000円を「後で回収する権利(完成工事未収入金=売掛金)」として計上します。

6. まとめ

着工金は、建設業の円滑な現場運営と資金繰りを支えるための重要なお金です。

  • 着工金とは、工事を始めるタイミングで受け取る準備代金(目安は30%程度)
  • 資材費の立て替えを防ぎ、未回収リスクを回避するために設定する
  • 受け取った時点では売上ではなく、帳簿上は「前受金」で処理し、工事完了時に売上へ振り替える

請負契約を結ぶ際は、着工金を含めた支払いの時期と割合をしっかりと契約書(注文書・注文請書)に明記しておきましょう。

自社の資金繰りを守り、安心して現場工事を進めるためにも、着工金の仕組みを上手に活用してくださいね!

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