毎年1月の 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の提出
毎年1月になると、多くの事業者が年末調整を行った給与支払報告書や源泉徴収票の提出業務に追われます。
そんな年始の事務作業に関して、令和9年1月から大きな制度改正が行われます。
これまで税務署と市区町村の両方に提出していた書類について、一定の条件を満たせば税務署への提出が不要になります。
今回は、「源泉徴収票のみなし提出の特例」と呼ばれる制度改正について、事業者向けにわかりやすく解説します。建設事業者向けの話というわけではないのですが、もちろん建設事業者さんも関係することですので書いておきます。
ただ、個人事業でやっておられる一人親方さんは源泉徴収をすることが無いと思いますので、今回は関係ないかと思います。ただ、今後、従業員を雇おうと考えている、事業拡大する可能性がある場合は必ず必要になる手続きなので覚えておいて損はないと思います。
これまでの提出ルール
従来、給与を支払う事業者は次の2つの提出を行っていました。
- 市区町村へ「給与支払報告書」を提出
- 税務署へ「給与所得の源泉徴収票」を提出
どちらも従業員の給与情報を報告するための書類ですが、提出先が異なるため、実質的に同じような内容を二重に作成・提出するような感じになっていたと思います。
令和9年1月から何が変わる?
令和9年1月1日以後に提出する源泉徴収票から、「源泉徴収票のみなし提出の特例」が適用されます。
また難しい言い方をしますよね・・・。
これは、市区町村へ給与支払報告書を提出した場合、その内容をもって税務署へ源泉徴収票を提出したものとみなす制度です。
つまり、市区町村へ給与支払い報告書を提出すれば税務署へは源泉徴収票を出さなくていいよってことですね。
税務署提出用の源泉徴収票を別途作成・提出する必要がなくなります。ちょっと楽になりそうですね。
対象となるのはいつの給与分?
令和9年1月以降に提出する書類が対象です。
令和9年の1月に提出するのは、令和8年分の年末調整分なので、令和8年分以後の給与に係る源泉徴収票が対象となります。つまり、令和8年中に支払った給与について、令和9年1月に行う提出手続から新制度が適用されます。
従業員へ渡す源泉徴収票は今まで通り必要
ここは勘違いしやすいポイントです。
税務署への提出が不要になるだけで、従業員へ交付する源泉徴収票はこれまで通り作成しなければなりません。
年末調整後の源泉徴収票は、
- 確定申告
- 住宅ローン関係の手続き
- 各種行政手続き
- 転職先への提出
などで利用されるため、引き続き全ての従業員へ交付する必要があります。これ絶対忘れてはいけません。
事業者にとってのメリット
今回の改正の最大の目的は、事務負担の軽減です。
これまでは、
- 源泉徴収票の作成
- 提出要件の確認
- 税務署への提出
といった作業が必要でした。
令和9年以降は、市区町村への給与支払報告書の提出のみで済むため、提出漏れのリスクや事務作業の削減につながります。
特に従業員数の多い事業所では、年末年始の業務効率化が期待できるでしょう。ただ、クラウドサービスなどで、ほぼ自動で書類を作成し、そこから申告・送信も行っているという場合は、それほど変わらないかも。送信先が1か所減るというだけですからね。
eLTAX利用でさらに効率化
国税庁では、この制度改正とあわせてeLTAX(地方税ポータルシステム)の利用も推奨しています。(たぶんずいぶん前から推奨はされていると思いますが)
eLTAXを利用すると、複数の市区町村へ提出する給与支払報告書を一括送信できるため、さらに事務負担を軽減できます。私も住民税の手続きなんかにもeLTAX使っていますが、圧倒的に便利です。
まとめ
令和9年1月から始まる「源泉徴収票のみなし提出の特例」により、市区町村へ給与支払報告書を提出した場合は、税務署への源泉徴収票の提出が不要になります。
ただし、
- 従業員への源泉徴収票交付は引き続き必要
- 対象は令和8年分以後の給与
- 市区町村への給与支払報告書提出はこれまで通り必要
という点は忘れないようにしましょう。
年末調整や法定調書作成を担当する方は、令和9年の提出業務からルールが変わることを今のうちに把握しておくと安心です。
