建設業や内装業など、現場へ直行する働き方では「マイカー通勤」はけっこう多いスタイルです。うちの会社でも社用リース車を使う方もいれば、自分の車(長年現場で使ってきて使いやすいのでしょう)を使いたいという方もいます。
そのため、通勤手当としてガソリン代を支給している事業所も多いと思いますが、令和8年度税制改正では、この「マイカー通勤に係る通勤手当の非課税限度額」が見直される点が注目されています。
この記事では、改正のポイントと実務への影響をわかりやすく解説します。
マイカー通勤手当の非課税限度額とは
通勤手当は一定の範囲内であれば所得税が課税されない仕組みになっています。
マイカー通勤の場合は、通勤距離に応じて非課税限度額が定められており、その範囲内であれば給与として課税されません。
たとえば、
- 片道2km以上10km未満
- 片道10km以上15km未満
といった距離区分ごとに上限が決まっています。
この上限を超えた分は給与として課税対象になります。
なぜ今回の見直しが行われるのか
今回の改正の背景には、シンプルに言うと
ガソリン価格の上昇
があります。
従来の非課税限度額は、燃料価格が現在より安い時代に設定されたもののため、
- 実費に対して非課税枠が足りない
- 超えた分が課税されてしまう
というズレが現場で起きていました。
特に地方や建設業では車通勤が前提のため、この影響が大きいといえます。
改正のポイント(ざっくり理解)
今回の改正の核心は
距離ごとの非課税限度額の引き上げ
です。
つまり、
- 今まで課税されていた一部が
非課税で処理できるようになる可能性がある
ということです。
具体的に言うと、今までは上限が、
通勤片道55km以上→ 非課税限度額38700円 だったものが
片道55km以上も片道95km以上まで細かく区分され、非課税限度額が定められるようになりました。
具体的な金額
変更になった部分だけまとめてみました。
| 通勤片道距離数 | 非課税限度額 |
| 55km~65km未満 | 38700円 |
| 65km~75km未満 | 45700円 |
| 75km~85km未満 | 52700円 |
| 85km~95km未満 | 59600円 |
| 95km以上 | 66400円 |
こんな感じです。たとえば、片道80kmある現場まで通っていた人は今までは38700円分までしか非課税にならなかったものが、52700円まで非課税になるわけです。
いつから適用になる?
2026年4月1日以後に支払われるべき通勤手当から だそうです。すでに始まっていますね。
建設業への影響(ここが重要)
現場直行が多い業種では、今回の改正はかなり実務に影響します。特に現場の場所が遠いという場合は恩恵を受けられる可能性が高いです。
● ガソリン代の実態に近づく
これまで
「足りないからちょっと多めに出すと課税」
だったものが
適正な範囲で非課税に収まりやすくなる
● 従業員の手取りが増える
同じ支給額でも
- 課税 → 非課税になる部分が増える
実質的な手取りアップ となりますね。ごくわずかですが・・・。
● 会社側の説明がしやすくなる
通勤手当の設計でありがちだった
- 「なんでここから課税?」問題
これが緩和されます。
実務でやるべきこと
次の点を確認しましょう。
● 通勤手当の金額設定の見直し
現在の支給額が
- 非課税枠内に収まっているか
- 余裕があるか
をチェックします。
● 給与計算ソフトの設定
非課税限度額が変わるため
設定変更が必要になる場合があります(クラウドサービスの場合は大体は自動で設定変更してくれているとは思います)
注意点
今回の改正があっても
通勤手当は社会保険上は「報酬」に含まれる
この点は変わりません。
つまり、
- 所得税 → 非課税でも
- 社会保険 → 対象になる
という点は引き続き注意が必要です。

