【建設業の一人親方・個人事業主向け】「事業主借」ってなに?実務でよくある具体例とカンタン仕訳ガイド

確定申告や日々の経理を進めていると、普段聞き慣れない言葉がたくさん出てきて頭が痛くなりますよね。特に、多くの人が「これ、どっちだっけ?」と混乱するのが「事業主借(じぎょうぬしかり)」「事業主貸(じぎょうぬしかし)」です。

事業主貸については別記事で詳しく解説します。

事業主借とは「個人の財布から事業の支払いをした時」に使う科目

まず結論からお伝えします。

事業主借(じぎょうぬしかり)とは、「プライベートのお金(個人)を、仕事(事業)のために使ったとき」に使う勘定科目です。

文字通り、「事業(お店や事務所)」が「事業主(プライベートのあなた)」から「お金を借りた(借)」という状況です。

上の図のように、プライベートのあなた(生活費)から事業用のお金に資金が流れる(=事業側から見れば、あなたから借りる)状態が「事業主借」になります。

個人事業主の場合、会社のようにお金が完全に分かれているわけではないので、(私はできるだけ分けることをお勧めしますが) 個人の財布から現場の消耗品を買うこともあるのではないかと思います。そんな「プライベートから事業へのお金の移動」を記録するために作られた、個人事業主ならではの便利な科目です。

建設業ならでは!「事業主借」を使う4つの具体例

「言葉の意味はなんとなく分かったけれど、実際にはどんな時に使うの?」と思いますよね。

建設業の現場や事務で本当によくある4つのパターンを見ていきましょう。

1. ホームセンターで急遽、材料や工具を「自腹」で買ったとき

現場で「コーキング剤が足りない!」「ビットが折れた!」となって、近くのホームセンターに駆け込むことはよくありますよね。

このとき、事業用の財布やカードではなく、あなたのポケットに入っていた個人の財布(プライベートの現金)から支払った場合は「事業主借」を使います。

2. 仕事用トラックのガソリン代を「個人のカード」で払ったとき

ガソリンスタンドで、うっかり事業用のクレジットカードを忘れてしまい、プライベート用のクレジットカードで給油したときも同様です。プライベートのカード払い=あなた個人が一度お金を立て替えた(=事業があなたから借りた)ことになるため、事業主借で処理します。

3. 事業用口座の残高が足りず、個人の貯金から補填したとき

「元請けからの入金が来週なのに、資材の支払いが今日で口座にお金が足りない……!」というとき。

個人的には建設業で事業主借を使うパターンで一番多いのがこの手のケースじゃないかなと私は思います。工事完了まで請求ができない。でも下請けや材料屋からは先に請求が来る。

うちの会社の社長も個人事業主の時、何度か自分の生活口座から事業用口座にお金を貸していました。

このように、個人の生活費口座から、事業用の口座に50万円を移動(入金)させたとします。これも事業があなたからお金を借りた状態なので「事業主借」になります。

4. 事業用口座に「預金利息」がついたとき

実は、事業用の銀行口座に数円〜数十円つく「普通預金の利息」も事業主借で処理します。

「えっ、利息は雑収入とか受け取り利息じゃないの?」と思うかもしれませんが、個人事業主にとって預金利息は「利子所得」という個人の税金ルールが適用されるため、事業の収入にはできません。そのため「プライベートの収入が事業用口座に入ってきた」とみなして「事業主借」にするのです。ここは少しややこしいですが、「預金利息=事業主借」とセットで覚えておいてくださいね。

恥ずかしながら、私がうちの社長の元で今の仕事を始めた頃、最初にやらかした大きなミスがこれでした。個人の場合は事業主借 覚えておきましょう。

法人はまた別になりますのでまた別の記事で解説したいと思います。

「事業主借」のカンタンな仕訳(しわけ)パターン

例①:現場で使う養生テープを、個人の現金1,000円で買った

ホームセンターで自腹を切ったときの仕訳です。

  • (借方)消耗品費 1,000円 /(貸方)事業主借 1,000円

右側(貸方)に「事業主借」と書くことで、「プライベートのお金から出しましたよ」という意味になります。

例②:事業用口座の資金が足りず、個人の貯金から20万円を振り込んだ

口座にお金を補填したときの仕訳です。

  • (借方)普通預金 200,000円 /(貸方)事業主借 200,000円

これで、事業用の通帳(普通預金)に20万円が増え、その理由は「事業主から借りた(事業主借)からだ」ということが一目で分かります。

どっちがどっち?「事業主借」と「事業主貸」の覚え方

「事業主借(かり)」と「事業主貸(かし)」、名前がそっくりでごちゃ混ぜになりますよね。

そんな時は、「主語を『事業(仕事用の財布)』にする」と一発で解決します。

  • 事業主【借】(じぎょうぬしかり):事業が、事業主(個人)からお金を「借りた」。(例:個人の財布から経費を払った、口座に補填した)
  • 事業主【貸】(じぎょうぬしかし):事業が、事業主(個人)にお金を「貸した」(生活費として渡した)。(例:事業用口座から生活費を10万円引き出した、個人の税金を事業用口座から払った)

「借りたから【借(かり)】」「貸したから【貸(かし)】」と、事業の視点で覚えると絶対に間違えなくなります。

まとめ:事業主借を味方につけて、経理をスムーズに!

今回は「事業主借」について解説しました。ポイントをもう一度おさらいしましょう。

  • 事業主借は「プライベートのお金で事業の支払いをした時」に使う
  • 「事業」が「事業主(個人)」からお金を「借りた」と覚える
  • ホームセンターでの自腹購入や、口座への生活費補填、預金利息などが具体例

「事業主借」をマスターすると、「仕事用のカードを忘れたから、今日は個人の財布から払っておこう」と、現場での対応も柔軟にできるようになります。

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