建設業の日々の経理で、資材や道具を買ったときに「とりあえず消耗品費や材料費で処理しているけれど、本当は未成工事支出金を使わないといけないのかな…?」と不安に思ったことはありませんか?
もしかして↓の記事を先に読んで不安になったという方もいらっしゃるかもしれませんね
結論からお伝えすると、日々の記帳は「消耗品費」や「材料費」を使っていても問題ありません!
ただし、「決算のタイミングでそのまま放置してしまう」と、税務調査で修正を命じられたりペナルティを受けるリスクが発生します。
今回は、日々の処理で「消耗品費」などを使い続けてしまった場合の影響と、税務署から指摘を受けないための正しい対処法を分かりやすく解説します。
1. 日々は「消耗品費」や「材料費」で処理しても大丈夫な理由
現場で使う材料や消耗品を買うたびに、毎回「これはどの工事の分で、まだ完成していないから未成工事支出金で…」と分類して記帳するのは、非常に手間がかかりますよね。
実務上、日々の取引(期中)は「消耗品費」「材料費」「外注費」などの普段使い慣れている勘定科目で処理してしまって全く問題ありません。
うちの会社も消耗品費や外注費で仕訳しています。
税務署が一番重要視しているのは、「日々の勘定科目の名前」ではなく、「1年間の決算(確定申告)の時点で、正しく利益と税金が計算されているか」という点だからです。
2. 決算でも「未成工事支出金」を使わずに放置するとどうなる?
日々の記帳は「消耗品費」などで大丈夫ですが、決算の時にも何もせず、そのまま経費として処理し切ってしまうのはNGです。
もし、未完成の現場にかかった材料費や外注費を「消耗品費」などの経費として落としたまま申告してしまうと、以下のような問題が発生します。
① 税務調査で「経費の過大計上」として指摘される(怒られる)
まだ完成・引き渡していない工事の費用を今年の経費にしてしまうと、「今年の経費が実際より多くなり、利益(と納めるべき税金)が不当に少なく計算されている」と判断されます。
税務調査が入った場合、「未完成工事の分を経費から除外してください」と指摘され、追徴課税(追加の税金やペナルティ)が発生する原因になります。
ちなみに。仲間内の小規模な法人、同じように建設関係の事業所の方の所に数年前に税務調査がいらっしゃったというので話を聞いたところ、この件は指摘されなかったそうです。普段材料費で仕訳け・決算時に何もせず。未成工事支出金という言葉自体私から聞いて初めて知ったというような方でした。
もう一つちなみに、うちはまだ法人になってから一度も税務調査を受けたことがありませんが、個人事業で社長+私の2名だったころには1度税務調査来て下さったことがありますが全く指摘されることはなく、何も問題ありませんね。で終わりました。当時は上の方同様、消耗品費で仕訳け、そのまま・・という感じでした。
もしかしたら金額が小規模な事業者はそれほど気にされていないのかもしれません。又は年度をまたいでいる現場があまりない場合は気にされないのかもしれませんね。うちの会社は当時作業員は社長1名という感じで工事も小規模だったので年度をまたいでいる現場は1件~2件程度で額も大きくないというのも理由だったのかもしれません。
とはいえ、指摘されないケースがあるからと言って正しく処理しないと問題なのは間違いありませんので、
なーんだ、別に良いのか とは思わないでください。
② 現場ごとの正しい利益(儲け)が分からなくなる
未完成の現場の費用が今年の経費に混ざってしまうと、決算書の数字が歪んでしまい、「自社が今どれくらい儲かっているのか」が正確に把握できなくなってしまいます。
3. 税務署から指摘されないための「決算時の正しい対処法」
では、日々の記帳で「消耗品費」や「材料費」を使っている場合、決算時にどう対応すれば良いのでしょうか?
答えは簡単で、「決算の日に、未完成の現場分だけを『未成工事支出金』へ振り替える作業(棚卸し)」を行えばOKです!
決算時の振り替え(棚卸し)の手順
- 決算日の時点で「まだ引き渡していない工事」をリストアップする
- その未完成工事のために支払った材料代や外注費、人件費などを集計する
- 集計した金額分を「経費」から差し引き、「未成工事支出金(資産)」へ振り替える仕訳をする
【仕訳例】未完成工事にかかった材料費・外注費が合計50万円あった場合
- 借方:未成工事支出金 500,000円 / 貸方:材料費(または消耗品費・外注費) 500,000円
このように決算時に一括で振り替えておけば、今年の経費から未完成分の50万円が引かれるため、税務署からも「正しく計算されている」と認められます。
なお、この工事が翌期に無事完成して引き渡されたタイミングで、保管していた「未成工事支出金」を「完成工事原価(経費)」に戻す処理を行えば、完璧です。
【仕訳例】保管していた「未成工事支出金」を完成工事原価に戻す時
- 借方(左側): 完成工事原価(※) 500,000円
- 貸方(右側): 未成工事支出金 500,000円


