労働保険料を支払ったときの仕訳|建設業の雇用保険・一括有期事業の違いも解説

今年の労働保険の年度更新は終わりましたか?年度更新が終わると、納付書を使って労働保険料を支払います。

「支払ったときは法定福利費でいいの?」

「雇用保険と労災保険を分けて仕訳する必要はある?」

このように迷ったことはありませんか?

特に雇用保険には従業員負担分が含まれるため、「全部を法定福利費」としてしまうと誤った仕訳になる場合があります

この記事では、建設業の年度更新後に労働保険料を支払った際の仕訳方法を、具体例を交えながらわかりやすく解説します。

建設業の年度更新の流れについては↓の記事を読んでみてください


労働保険料は2種類の保険料で構成されている

建設業の年度更新で納付する労働保険料は、主に次の2種類です。

保険の種類従業員負担会社負担
雇用保険ありあり
労災保険(一括有期事業)なし100%会社負担

ここが仕訳を考えるうえで最も重要なポイントです。


雇用保険と一括有期事業では仕訳の考え方が違う

雇用保険は従業員も保険料を負担する

雇用保険料は、会社だけではなく従業員も負担します。

毎月の給与計算で従業員負担分を給与から天引きし、「預り金」として処理している会社がほとんどでしょう。

つまり、年度更新で納付する雇用保険料には、

  • 会社負担分
  • 従業員から預かっていた分

の両方が含まれています。

従業員から預かっていた分は会社の経費ではないため、納付時には「預り金」を減らす処理が必要です。


労災保険料(一括有期事業等)は会社が全額負担

一方、一括有期事業などの労災保険料は、従業員が負担することはありません。単独有期事業の場合も同様です。労災は会社負担と覚えておけばよいと思います。

保険料はすべて会社負担となるため、給与から天引きすることもなく、「預り金」も発生しません。

そのため、納付時は全額を会社の費用として処理します。

実際の仕分けの仕方

毎月の給与から雇用保険料を天引きしたときの仕訳

雇用保険料は、会社負担分と従業員負担分があります。

給与計算時には、従業員負担分だけを給与から天引きし、「預り金」として処理します。

  • 総支給額:300,000円
  • 雇用保険料(従業員負担分):900円
  • 差引支給額:299,100円
借方貸方
給与手当 300,000円預り金(雇用保険料) 900円
普通預金 299,100円

ポイント

  • 預り金は「会社が一時的に預かっているお金」です。
  • この時点では会社の経費ではありません。

労働保険料を支払ったときの仕訳例

年度更新後、次の内容で労働保険料240,000円を普通預金から支払ったとします。

  • 雇用保険(会社負担分)40,000円
  • 雇用保険(従業員負担分)20,000円
  • 労災保険(一括有期事業)180,000円

仕訳

借方貸方
法定福利費 220,000円普通預金 240,000円
預り金 20,000円

会社負担となる220,000円は「法定福利費」、従業員から預かっていた20,000円は「預り金」を取り崩します。


労災保険だけを支払った場合

例えば、一括有期事業の労災保険料180,000円だけを支払う場合は、シンプルです。

借方貸方
法定福利費 180,000円普通預金 180,000円

会社が全額負担するため、「預り金」は使用しません。


未払金(未払費用)を計上している場合

決算時などに労働保険料を未払計上している場合は、支払時には未払金(または未払費用)を取り崩します。

仕訳例

借方貸方
未払金 220,000円普通預金 220,000円

従業員負担分の雇用保険料については、預り金から取り崩す処理となります。


分割納付の場合はどうする?

概算保険料が一定額以上になると、労働保険料は3回に分けて納付できます。

この場合も、支払った都度仕訳を行います。

各回の納付額の内訳を確認し、

  • 会社負担分 → 法定福利費
  • 従業員負担分 → 預り金

として処理しましょう。


よくある間違い

納付額をすべて法定福利費にしてしまう

建設業で最も多い間違いがこれです。

雇用保険の従業員負担分まで法定福利費としてしまうと、本来会社の経費ではない金額まで費用計上してしまいます。

年度更新申告書や納付額の内訳を確認し、会社負担分と従業員負担分を分けて処理することが大切です。


一括有期事業にも従業員負担があると思ってしまう

労災保険料は会社が全額負担します。

そのため、一括有期事業の労災保険料を給与から控除したり、「預り金」で処理したりすることはありません。


まとめ

建設業の労働保険料は、「雇用保険」と「一括有期事業単独有期事業(労災保険)」で仕訳の考え方が異なります。

ポイントは次の3つです。

  • 雇用保険は会社負担分と従業員負担分を分けて考える
  • 従業員負担分は「預り金」を取り崩して処理する
  • 一括有期事業の労災保険料は会社が全額負担のため、法定福利費で処理する

年度更新後の納付時は、納付書だけでなく年度更新申告書の内訳も確認しながら仕訳を行うと、処理ミスを防ぐことができます。

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